季節の変わり目は、気温や気圧の変化によって冷えやむくみ、肌トラブルなど体調を崩しやすい時期でもありますね。なんとなく体がだるい、頭が重い、肌の調子が優れない…といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
漢方コラム第3回目となる今回は、これまでも様々な不調に対する漢方のアプローチを解説してくださった薬剤師の草野和加さんに、季節の変わり目に起こりやすい具体的な不調と、それらに対する漢方ケアについて詳しくお伺いします。
季節の変わり目に多い不調と漢方ケア
草野さん:季節が変わる時期は、特に気圧の変化が影響して、体内の「水(すい)」の巡りに乱れが起こりやすいですね。
めまいや頭痛、関節の痛み、腫れといった症状に加え、自律神経のバランスが崩れることで、全身の不調を感じる方もいます。

こういった状態には、一般的に認識されている漢方薬では、水の巡りを整える五苓散(ごれいさん)や、気の巡りをサポートする加味逍遥散(かみしょうようさん)など、体質に応じた漢方が活用されることがあります。(実際には、さまざまな漢方薬が存在します。)
季節によって変化する肌の不調
草野さん:肌トラブルもまた、季節の影響を受けやすい症状のひとつです。
夏場は湿気の影響で汗疹(あせも)などが起こりやすく、冬場は乾燥によって皮膚のかゆみやかさつきが目立ちやすくなります。
湿気による皮膚トラブルには、湿を取りながら皮膚を整える消風散(しょうふうさん)、乾燥によるかさつきには、潤いを保つ当帰飲子(とうきいんし)などが選ばれることもあります。
冷えやむくみと体質タイプの違い
草野さん:冷えとひとことで言っても、原因によって対応が異なります。
体を温めるエネルギーが不足している「気虚(ききょ)」、血の巡りが悪い「お血(おけつ)」、体内に余分な水分が停滞して冷える「水滞(すいたい)」など、タイプに応じて見極めが必要です。
むくみも「水」の巡りが滞っているサイン。こちらも「水滞」と考え、水の流れを整える処方が使われます。
自分の体と向き合う第一歩に
季節の変わり目に感じやすい不調、肌トラブル、冷えやむくみなど、身近な悩みに対して、漢方は体質や状態に応じた多角的な視点でサポートを目指します。
大切なのは、気になる変化に気づいたときに、「自分の体質を知る」意識を持つこと。
そして、自己判断せず専門家のアドバイスを受けながら、今の自分に合うケアを見つけていくことが、これからの毎日を快適に過ごすヒントになると思います。
このコラムが、漢方への理解を深め、皆様の健やかな生活の一助となれば幸いです。
*漢方薬は医薬品です。服用に際しては、漢方専門の医師や薬剤師医師や薬剤師にご相談ください。
紹介している漢方薬は、症状や体質によって向き不向きがあります。自己判断せずに専門家にご相談ください。
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