不調を感じやすい更年期世代に知ってほしい“漢方の考え方”

不調を感じやすい更年期世代に知ってほしい“漢方の考え方”

鍼灸の基本を知る、女性の不調に寄り添うやさしいケア 読む 不調を感じやすい更年期世代に知ってほしい“漢方の考え方” 1 分

年齢とともに心身の変化を感じ、「これまでの自分と違うな」と感じることはありませんか?特に、ホルモンバランスの変化が影響する更年期は、多くの女性が様々な不調に直面しやすい時期です。そんな時に、古くから私たちの体に寄り添ってきた「漢方」が、新たな選択肢となるかもしれません。

前回に引き続き、薬剤師の草野和加さんに、不調が起きやすい世代が心と体の変化に寄り添う漢方について、その具体的な役割や期待できる効果を解説いただきます。

 

 

更年期の不調、なぜ漢方が注目されるの?

草野さん:更年期は、女性ホルモンの減少が主な原因で起こる体の変化です。男性にも更年期はありますが、女性ホルモンの変化は特に心身に様々な影響を与えます。実は、漢方は古くから女性ホルモンの乱れに対する効果が期待されており、現在でも女性特有の不調によく使われる理由の一つとなっています。

更年期だけでなく、例えば妊活にも漢方が用いられることがあるのは、このためなんです。

 

ホットフラッシュ、イライラ…更年期の様々な症状に漢方が期待できること

草野さん:更年期に多い症状は、本当に多岐にわたりますよね。例えば、カーッと暑くなる「ホットフラッシュ」や、手足の冷えを伴う「冷えのぼせ」、めまい、肩こり、倦怠感、そしてイライラや落ち込みといった精神的な症状など、挙げればきりがありません。

漢方は、これらの多岐にわたる諸症状を穏やかに和らげる効果が期待できます。
一つの事例として、50歳近くでイライラ、不安、倦怠感、生理不順(月に2回あったり、数ヶ月飛んだり)に悩まされていた方がいらっしゃいました。その方の症状に合った漢方を服用したところ、2週間ほどで改善傾向を実感され、症状が軽減し、穏やかに過ごせるようになったというお声もいただいています。

症状が楽になっても、特に更年期の場合は閉経するまではホルモン分泌による影響が続くため、回数を減らしてでも服用を継続することをおすすめしています。

 

あなたに合った漢方を見つけるヒント

草野さん:更年期の症状は一人ひとり異なりますが、特に多いのは頭痛、めまい、不眠、不安、イライラといった精神神経系の症状や、動悸、息切れ、ホットフラッシュなどの血管運動系の症状です。
特に多く見られるのは以下の二つのタイプです。

精神神経系の症状:頭痛、めまい、不眠、不安感、イライラなど 。これらの症状には「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などが用いられることがあります。漢方では、イライラや不眠などの精神症状は「気(き)」の巡りが悪くなっている状態だと考えます。

血管運動系の症状:動悸、息切れ、ホットフラッシュ(冷えのぼせ)など。これらの症状には「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが知られています。漢方では、ホットフラッシュ(冷えのぼせ)は「血(けつ)」の巡りが悪い状態だと捉えます。

ただし、漢方を服用して不調を起こしたり、2ヶ月くらい飲んで効果がなければ処方を変える方がいいと思います。しっかり自分の体に合った漢方を探すなら、専門家に相談することをおすすめします。

 

更年期は、女性にとって心身ともに変化の大きい時期です。
もし、今感じている不調が更年期の影響かもしれないと感じたら、漢方を一つの選択肢として考えてみませんか。あなたの体質やライフスタイルに寄り添い、バランスをやさしく整える漢方の知恵が、これからの日々をより快適にする助けとなるかもしれません。


*体調の変化で気になることがあれば、自己判断せずに漢方専門の医師や薬剤師に相談することをおすすめします。全体的な、包括的な、という意味。漢方では、体の特定の症状だけでなく、心身全体のバランスを整えることを重視します。

 

 

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