鍼灸の基本を知る、女性の不調に寄り添うやさしいケア

鍼灸の基本を知る、女性の不調に寄り添うやさしいケア

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私たちの身体には、本来「整える力=自然治癒力」が備わっていますが、不調やストレスが続くと、その力がうまく働かなくなり、様々な症状となって現れます。
そんなとき、東洋医学のひとつである鍼灸は、身体の内側から整えるアプローチとして、幅広く活用されています。

今回はFuku Total Body Maintenance 総院長の福崎孝幸さんに、鍼灸の基本的なはたらきや効果、そして美容にもつながる顔鍼について解説いただきます。

 

鍼灸が持つ基本の働き

福崎さん:鍼灸は、皮膚や筋肉にやさしく刺激を与えることで、体がもつ力を引き出し、整える伝統的な療法です。
近年では、その作用メカニズムが科学的にも解明され、西洋医学とあわせて注目されています。

1. 自律神経を整える
 鍼の刺激は、交感神経と副交感神経のバランスをととのえるサポートとなり、緊張やストレスによる不調をやわらげる効果が期待されています。
 肩こりや首の張り、ストレスによる眠りの質の低下などにも、鍼灸が役立つケースがあります。*¹

2. 血流の促進
 鍼の刺激で血行が促進されることで、酸素や栄養が細胞に届きやすくなり、疲労回復のサポートにもなります。*¹

3. 痛みを和らげる
 頭痛・腰痛・関節の痛みなどに対し、身体が出す鎮痛物質(エンドルフィンなど)*²の分泌が促され、痛みがやわらぐこともあります。

4. 内臓と皮膚のつながりに働きかける
 身体には「デルマトーム」と呼ばれる、皮膚と内臓をつなぐ神経ルートがあり、特定のツボを刺激することで内臓の働きに間接的にアプローチすることもあります。

 

美容目的ではない顔鍼の考え方

福崎さん:当院では、顔への鍼(顔鍼)はあくまで「身体の治療の延長」として行っています。
精神的な緊張やストレスは顔に表れやすいもの。過去には訪問医療の現場で、精神的ケアの一環として顔鍼を行っていた経験もあります。

顔への施術により、自律神経が整い*¹、噛む筋肉や表情筋のこわばりが和らぐことで、肌の質感やハリ感などの変化につながることもあります。

 

体が整うことで現れる「結果としての美容」

福崎さん:顔鍼によって現れやすい変化の一例として、次のようなことが挙げられます。

エラの張り感がゆるむ:噛む筋肉(咬筋)の緊張を和らげ、食いしばりによる張りを軽減

シワやほうれい線の印象に変化:筋肉のこわばりをほぐし、血流を促すことで、輪郭の印象がなめらかになる場合も

肌のくすみやハリ感の変化:血行の促進によって肌の明るさや潤い感に違いが出る場合もあります*¹

これらはすべて、身体全体のバランスが整った「結果として」現れる変化。
単なる美容施術とは異なり、心と身体の健康を整える過程の中で感じられる“副次的なメリット”です。

 

鍼灸が支える、ライフステージの変化にも寄り添うケア

福崎さん:更年期は、ホルモンバランスや自律神経の乱れから、さまざまな不調が現れやすい時期です。
近年は、20〜30代でも不妊や婦人科系の悩みを抱える方が増えており、「若年性更年期」という言葉も聞かれるようになってきました。

こうした変化に対し、鍼灸は、年齢や体の状態に応じた自律神経のバランスを整える手段として用いられます。

中でも顔鍼は、副交感神経にアプローチすることでホルモンの調整を促し、緊張感の緩和や心身の安定をサポートするとされています*¹。

美容目的だけでなく、体調を整える一つの手段として、日々のケアに取り入れてみるのも良いかもしれません。

 

日々のちょっとした不調こそ、心や体からのサインかもしれません。
「整える」習慣として、鍼灸を選ぶことで、自分自身と丁寧に向き合うきっかけになることも。
気になる変化を感じたときは、ぜひ一度専門家に相談してみてくださいね。

次回も引き続き、鍼灸に関するお話を解説いただきます。どうぞお楽しみに。

 

*¹ 効果は特定の症状の改善を保証するものではありません。感じ方には個人差があり、症状が続く場合は専門家へご相談ください。
*² エンドルフィンは脳内の神経伝達物質の一種で、鎮痛や幸福感をもたらす作用があるとされています。

 

 

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