前回は、エコーを用いて骨盤底筋を意識し、収縮させる方法をご紹介しました。今回は、実践編として、MTXスポーツ・関節クリニックで実際に行われている骨盤底筋トレーニングの一例を、MTXスポーツ・関節クリニックの理学療法士である猿田さんに解説していただきます。
骨盤底筋の実践トレーニング
猿田さん:(前回のコラムで解説した)STEP1の段階をクリアすると、骨盤底筋群の瞬発力と持久力を向上させるトレーニングに入ります。
瞬発力は、骨盤底筋群を締める⇔緩めることを10秒間に何回繰り返せるかを見ていきます。
STEP1.仰向けになり、膝を三角形に立てます。
そのままの姿勢で深呼吸を行い、骨盤底筋をじんわりと締めます。

STEP2.この姿勢のまま、骨盤底筋を10秒間にできるだけたくさん締める⇔緩めるを繰り返します。10秒間で10回を目指して、少しずつステップアップしていきます。
このトレーニングをスムーズに行えるようになったら、骨盤底筋を締めた状態でキープすることに挑戦します。慣れてきたら、上級レベルの10秒キープを10セット行うことにもチャレンジします。
<トレーニング例>
初級レベル:6秒キープ × 5セット
上級レベル:10秒キープ × 10セット
※インターバル(1セット後の休憩時間)は4秒です。
持久力向上には、骨盤底筋群を締めて引き上げた状態をどれくらい長く維持できるか、またそれを何回繰り返せるかを確認します。
STEP3.骨盤底筋を締めた状態で長時間キープできるようになったら、次のステップへ進みます。骨盤底筋を締めたままゆっくりと片足を上げ下げし、さらに負荷をかけたトレーニングを行います。
見た目はシンプルですが、正しく行うには意外と難しい骨盤底筋のトレーニング。正しく実施できるようになるために、ぜひ当院でトレーニングを始めてみませんか?
骨盤底筋トレーニングを行う上で意識するポイント
猿田さん:骨盤底筋トレーニングのコツは 「ゆっくり・やさしく」です。
下記のイメージを持つことでトレーニングがもっとやりやすくなります。
良いイメージ:「優しく、ゆっくり引き上げるように締める」
悪いイメージ:「ギュッと全力で締める」
骨盤底筋を意識しているつもりでも、腰が反ったり、骨盤が傾いたり、お腹が膨らんだりする動きが見られる場合は、うまく使えていないサインですので、注意が必要です。
【イメージしやすい方法・例】
・肛門や膣を締める
・おしっこの出口を締める
・会陰部(膣口から肛門までの部分)でティッシュ1枚をつまみ上げる
骨盤底筋は小さく繊細な筋肉であるため、力を入れすぎると逆に負担がかかることも。骨盤底筋の筋力が「弱い」だけでなく「硬い」場合もあるため、ストレッチしたり緩めたりする必要があるケースもあります。
ご自身で行うセルフトレーニングでは判断が難しい場合もあるため、専門家の診察を受けて最適な方法を確認することをおすすめします。
トレーニングの期間と頻度
猿田さん:骨盤底筋の状態は人それぞれ。また、トレーニングの開始時期や頻度も個々によって異なります。それぞれの骨盤底機能の向上目的(=ゴール)は、出産後に競技レベルに耐えうる体力や機能を習得したいのか、まずは尿漏れを改善したいのか、など様々です。
例えば、当院に月に1回の頻度で通われていた方でも、
1回目:収縮感覚がつかめない
2回目:ようやく感覚をつかむ
3回目:筋力トレーニング開始
4回目:レベルアップ
と、ステップを踏んで進めていきます。
セルフトレーニングの取り組み方によって、向上のスピードは変わりますので、自分のペースでコツコツと続けることが大切です。
なお、当院で行う専門家の指導に基づく骨盤底筋トレーニングでは、患者様に最適な方法で指導いたします。
すきま時間でのセルフトレーニング
猿田さん:骨盤底筋は、意識して鍛える筋肉ですが、ちょっとしたすきま時間にもトレーニングができます。
慣れてきてさらに機能を高めたい方は、
・瞬発力UP:10秒間でなるべくたくさん締める⇔緩めるを繰り返す
・持久力UP:最大10秒間、骨盤底筋の収縮と締めた状態を維持する練習を繰り返す
などもチャレンジしてみてください。
当院では、患者様に合った適切なイメージ・回数・時間を宿題としてご指導しますので、一緒に頑張りましょう。
基本編と実践編の2回にわたり、MTXスポーツ・関節クリニックで行われているトレーニングについて、理学療法士の猿田さんに解説していただきましたが、いかがでしたでしょうか?
プロの指導のもとでトレーニングを受けたい方は、ぜひMTXスポーツ・関節クリニックへ。
\今回お話を伺ったのは/